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本文のはじまりです。

『自分の仕事をつくる』

2008 年 7 月 18 日

前回のパドヴァのホテルの話を書いていて、思い出した本があります。なぜニセモノに囲まれると幸せを感じないのか?、、と考えていた時、わたしが以前に読んで影響を受けているのはあの本だった、、と思い出したのです。

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「働き方研究家」という肩書きを持つ西村佳哲さんの著書『 自分の仕事をつくる』

この本に出てくる「パタゴニア」のサンダルを先日買ったところで、履き心地が良くて「どんな事が書いてあったかな?」と思ったこともあり、ぱらぱらと読み返してみました。

再度、というか以前よりもさらに共感する部分が多くて、著者の着眼点の先進性にうーんと唸ることたびたび。とても、とても良い本なのでみなさんにお薦めしたいです。

なんというか「ほんとに、こんなやり方で続くのかな!?」なんて落ち込みそうな時に「誰だって、 自分のやり方を探しているのよね。問題は愛の大きさなんだ!」と励まされる。わたしはここ数日、とても励まされました。登場する「愛のある仕事人」は、商品やデザインを著者が見て「すばらしい」と思った人たちばかりで、見た事のある物や持っている物のデザイナーだったりすると、そうか、このモノの後ろにはこういう働き方があったんだ、、と納得できるのです。

前書きに「周りを見回して目に入る物も風景も、誰かの仕事の結果としてそこにある。その仕事が『こんなもんでいい』という態度で作られていたら、それを手にする人の存在を否定する。それは棘のように精神にダメージを与えているだろう。逆に、心を込めて作られたものはそれを含む世界を良く変えて行く力を持っているのではないか」という主旨の文があって、デザイナーとして出来る事への限界というか、そういう気持ちで見ていた世界が少しふわっと押し広げられたような気がしました。

2003年に出版されたこの本に「これから脱工業化社会が本当に進展しつつあったら」とか「モノがあること、あるいはお金があることが豊かさではないことはわかってきた。では、次に目指すべき豊かさは、どこに」という今起きている社会全体のシフトをすでに見据えているフレーズがあちこちにある。5年前、わたしはまだ彼ほどの環境に対する危機感もなく進行中の育ちすぎた消費社会にも違和感を持たず、自分の目の前の日々のことにただあくせくしていたなぁ、、と振り返ったりするのでした。

今回、いちばんごん!と腹に応えた一文は 「他者の力を引き出す人」ファシリテーターのところで、人がセルフ・エスティーム(自己是定感情)を育むために第三者に何ができるか、という考察をしている箇所です。

『それは「あなたには価値がある」と口で言うことではなく、その人の存在に対する真剣さの強度を、態度と行動で体現することだと僕は思う。』

これは経営者がスタッフの能力を引き出す、という狭い使われ方を越えて、家族やパートナー、共同体で出会う人々を幸せにし、かつ自分が幸せを感じるための基本中の基本ですね。はぁぁぁ。忙しい、いそがしいとつぶやいてちゃダメだ。こんな大切なことをつい忘れて毎日を過ごしているけど、ちょっとしたきっかけでこの本に再会してこの言葉にもう一度出会えて良かったと思う。パタゴニアのサンダルと、ビジネス旅行にThanks。

ニセモノ / a room with fakes

2008 年 7 月 15 日

どんなに格好よく見せかけを作っても、ニセモノに囲まれた空間では心からくつろげない、、、という体験をしました。

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先週、出張で行ったイタリアの都市パドヴァで、スペインの「デザイン・ホテル」AC HotelsチェーンのひとつAC Padovaに泊まった時のこと。

古都の城壁の外、工業地帯の入り口、という立地だけど、2重窓で静かだし、清潔。サービスは節度があって気持ちよく、モダンだけど大きすぎないサイズ。かなり気に入りそうなホテルなのに、、、惜しいなぁ。

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レセプション周りは、さすがにちゃんとしてました。シックで快適。色使いも照明も、質感もよい感じ。でも、客室が。

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最初の印象は悪くなかった。床やカーテンの色合いは落ち着いて、照明もしっとり、収納もたくさんある。掛かってるコルビジェの教会の写真もいい感じ。でも椅子が「なんちゃってイームズ」だと気づき、あらら、、と思って見回すと、偽物だらけだったのです。レセプションの前にあったソファはデンマークのラムハルツだったけど、客室にあるのはそれを真似て作った稚拙なソファ。脚の金物はスプレー塗装だし。極めつけはウォールナットに似せた木目がプリントされているビニール張りの床。まあねぇ、こういう場所では、ハイヒールの跡が残る床材を使いたくないのは分かるけど、、。

バスタブは大きく立派に見えるのに、プラスティック。これは、中に入るとパカパカ音がするし、底はふわふわするし「ホテルで入浴」という楽しみの時間を台無しにしてくれるよなぁ、、と思う。洗面台は、見栄えは良いガラス板だけど、これ、メタルの土台との接着部分をキレイに紫外線溶着しないと、ボンドみたいなのが透けて見えるのはかっこ悪いです。こんな掃除に手のかかる素材を使うなら、それくらいの気は遣って欲しいと思う。くぼみの大きさが微妙で水は飛び散り、裏をつつーっと水が流れたりするので、翌朝にはかなり汚れた印象になってしまう。しかも、天板に傾斜があって、置いてあったゴルフボール型(なぜ!?)の石けんが濡れた軌跡を描きながら転がるのが、ぁあ、うっとうしい!

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なぜ、ニセモノだとくつろげないか。

気持ちの良いホテルに泊まる、というのはちょっとした非日常の、ご褒美のようなものだと思うのです。毎日働いてがんばってるし、たまには掃除とかベッドメイキングのことを考えなくてもいい、誰かが朝食を作ってくれる場所でのびのびとくつろぎたい。なのに、そんな場所でニセモノに出会うと「ここに泊まる客にはね、所詮これくらいでいいんですよ、たいして高い料金を払っている訳でもないんだから、表面だけかっこう良くしておいたら」という、隠れたメッセージのようなものが見えてしまう。「これくらいでいいだろう」という気持ちで用意された場所では、人は大事に扱われているとは感じられない。

イームズの本物が予算からして高すぎたら、なんちゃってイームズを買わないで、同じ値段でも誰かがもっと誠意を持って作った別の家具が見つかるはず。ばかみたいに大きなバスタブを入れなくても、心地の良い浴室はいくらでも考えられる。「あなたの快適な今夜ために、予算はそんなにかけていないけど、誠意のあるものたちでこの部屋を用意しました」という場所は、たしかにあるし、そこはわたしをくつろいだ幸せな気分にしてくれる。と、そう思うのです。手作りのジャムやお菓子が置かれている、自分でお茶をいれて飲めるような小さなB&Bなんかは、ニセモノの置かれた「デザイン・ホテル」よりはよっぽど快適に過ごせる。それは、ゲストとしてもてなされている、そのホスピタリティーをしっかり受け取れるからですよね。

この「真のホスピタリティー」はHPやホテル・レビューでは分からないものだなあ、と思う。今回はがっくりしたけど、朝食はまあまあ良かったし(まあまあ、ね)、レセプションも感じが良くてミラノで普段泊まるホテルに比べればよっぽど快適だったので、AC Milanoには、今後泊まるかもしれない。ネガティブ・チョイスなので「楽しもう」というスイッチはオフにして。このあたりの、宿泊にかける費用と結果としての心地よさのバランスって、ほんと難しいです。

***

I realise that there are a lots of visitors to this blog from abroad. So, I write in English as well today, because it is not easy to get message of this post by photos only.

I stayed in a hotel in Padova, named AC Padova, one of AC hotels run by a Spanish company.

OK, I have to admit that the reception area is good, chic and nice texture of materials and colour. People are professional, nice and helpful. Breakfast was not bad, either.

But once you step into your guest room, then you find items in the room are all copy or fake or substitute - from ‘inspired’ Eames chair to Walnut printed vinyl floor and big plastic bathtub. I could not be really happy being in this room, as I received subtle message of management that says ‘you are not paying huge amount of money anyway, so forge Design Hotel is suitable for you’. This message damages impression of whole experience, leave scrach in your mind and you are not entirely comfortable there. You want to go home, being surrounded by not expensive, but honest things.

中世とモダン

2008 年 7 月 4 日

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「レトロ・ロンド」のあったOudenaardeという街で泊まった「Steenhuyse」は、街の中心の広場に面した築500年の建物の内部をモダンに改装したゲストハウス。

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デンマーク人とベルギー人の夫婦が1年半をかけて改装工事をした話を聞く事ができて、興味深かったです。歴史的な建物なので外観を変えるのはもってのほか、2重窓にすることさえ許可が降りなかったのだとか。客室はフィリプ・スタルク、レセプションやダイニングはほとんどがデンマークのクラシック・モダンでまとめてあって、外観との対比がとても素敵なゲストハウスでした。

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朝食にはたくさんの種類のパンやチーズ、ベルギーならではのワッフルやチョコレートまで並び、卵を料理してくれ、たっぷりな量のコーヒーや紅茶が運ばれる。 なかなか贅沢でゆったりした朝の時間を過ごした。朝食の質は、宿の重要なポイントですね。

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でも、ミニマムすぎる客室はちょっと使いづらかった。トイレのドアがないのは、やはりあんまり気持ちのいいものではないなぁ。脇にちょっと壁があるだけ、というのは。日本人だからでしょうか?カップルで泊まっても、積極的に見せたくない場面はあるし、音も気になりますよね?

部屋の真ん中にどどーんとあるスタルクのバスタブは、大きすぎ。お湯を溜めても溜めても、水位が上がらない。こんなにたくさん水を使うの、もったいない、、、とつい思ってしまう。

洗面台の周りのテーブル面が狭いのも使い勝手が悪い。歯ブラシだけじゃなく、いろいろ置きたいですよね、洗面台のまわりには。こんなに空間があるんなら、見栄えよく使いやすくいくらでも出来るのに、、、とついついスケッチブックとメジャーを出してスタディーしそうでした。

インテリアの趣味やもてなしの質も高かったけれど、こういう雰囲気を保ちつつethicalなホテル経営をするのは、とても難しいことなんだなぁ、と思った。夜、宿に戻って煌々と明かりの灯るリビングやダイニングに入って思ったのは、この華やかさを残しつつ電気消費量を下げるには、いろいろとアイデアが要るなぁ、ということ。でも、こんなに明るくしているのは、客がこれを望んでいるとホテルの人が思っているから? 結局は、泊まる客の側の意識の変化しか、ホテルを変えるものはないのかもしれません。

ホテルの石けんって、回収されてリサイクルされたりするんでしょうか?どなたかそういう事情、知ってます? 「タオルはまだ替えなくてもいいですよ」とスマートに客がサインを送れるような、そんなユニバーサルな作法はないものかしら、、、。

ビールとレトロ・ロンド

2008 年 7 月 2 日

車に古い自転車を積んでフェリーでドーバー海峡を渡り、フランスを越えてベルギーのゲントの近く、Oudenaardeという街であった「レトロ・ロンド」に参加して35キロ走りました。「ツアー・オブ・フランダース」という歴史のある自転車レースのコースの一部をレトロ自転車ファンが走るというイベントで、今年で2年目の開催。

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まずはGentでビールを一杯。右はチェリービールです。わたしはこの甘いビールが大好き。今回の自転車はこれ。

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20年以上古い自転車でそれに併せた服装で参加、というのがルールなので、レーシング自転車の人はそれっぽく、配達用自転車だったらそんな感じの服をみんな着てます。わたしは1941年フランス製の「そこまでお買い物用」自転車なので、ベレーかぶって白いソックスで、ちょっとリセっぽく(この際、トシは忘れて)。

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オーガナイザーもレトロな服装で。右から牧師さん、町長とその夫人、司会のおじさん、メカニックとお巡りさん。

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150人の大集団でスタート。街の中心部を2周ほど走り、郊外に出るとすぐにこんな風景に。牛や馬があちこちにいて、休憩場の農家では目の前をニワトリが走り回っていたり。コースの途中では飲み物(ビールも!)や果物、アイスクリームにケーキなどが振る舞われ、道ゆく人や車もサイクリストに慣れていてとても親切でした。幹線道路にも街中にも歩行者と分けたサイクル・レーンがあるし、イギリスよりも快適。車もかならず自転車を優先してくれます。自転車カルチャーの歴史の長い国でのサイクリングというのを初めて体験したけれど、ゆったりしていて良いものでした。

石油が枯渇して今みたいに車を運転できなくなる100年後、工業も衰退して新しい製品が出回らなくなったら、みんなこんな風にして古き良き時代の自転車を修理して田園を走るのが世界的なレジャーになるのかな、、なんてふと思ったり。

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きつい坂道のある65キロのコースを走り終えた人たち。イギリスからは14名参加、その他オランダやドイツからもレトロ自転車とサイクリストが集まっていました。

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走り終えて、またビール。うーん、美味しい。でもこれ、アルコール度が11%もあるビールなのです。危ない、あぶない、、。

小冊子 ‘d’

2008 年 6 月 24 日

前回に引き続き、D&DEPARTMENTについて。

ナガオカさんのさまざまな活動の中でもとくに評価するのは、出版やHPやブログでその考え方や活動のプロセスを広く世間に知ってもらおうとする、その努力です。これは実は、とても根気のいる、しかも結果の見えにくいことで、長く続けてやっとその真価を計る事ができることだと思う。そして、自らの考えをまとめて整理し、行く先を考える時にとても重要な作業だと思うのです。

帰国するたびに、本屋で見つけたら買っていた彼らの雑誌「d」

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旅行などの移動中にバッグに入れて読み切れる気軽さなのに、丁寧な取材の結果が毎号何編もレポートされ、わたしが知らなかった世界のことがいつも紹介されていて、楽しい驚きがある。ナガオカさんとそのチームの「ロングライフデザイン」に対するいろいろな角度からの考察と、その熱意にいつも感心しながら読んでいました。

特に好きだったのが、写真に撮った2冊。8号の『サンタクロースとは何か?』を読んで、不覚にもぽろっと涙をこぼして新幹線の中でハナをすすり、ルイス・カーンのすばらしい言葉にしばしボーゼンと車窓から過ぎ行く風景を眺めた。9号は、ちょっと落ち込んでる時に読んだのでハッリ・コスキネンの笑顔に癒され、話題になっていた「PSE法」について学び、三國シェフの話の深さに打たれ、深澤直人さんのスピッツ評に思い切りうなづいたり(たまたま、数日前に偶然スピッツを聴いていたのです)して、読み終わる頃には元気になっていて、、、と、2冊丸ごと心から楽しんだのでした。

先日のお店訪問で何冊かまとめてバックナンバーを入手し、最新号の編集後記を読んだら、今までの形態では売れなかったので、休刊してリニューアルします、とあった。デザインが語られる時にそれが表沙汰になる「順番」についての考察が、そのままこの小冊子への自らの批評だったのは、象徴的なことかもしれない、、と、名残を惜しみつつも納得したのでした。大資本の力を借りずに20号も出版した、それは実はとても大変な事だったと思う。そこから利益が生まれなければサステナブルとは言えない、という判断。

正直やはり淋しいですが、計画中の次の出版物を楽しみにしています。そして、日々考えていることを丁寧に記録し残し共有していく、その姿勢に学びたいと思う。そう、わたしがこのブログをやろうと思ったのも「d」に触発されての事だったのかもしれないと、今となっては思うのです。

なつかしい空気

2008 年 6 月 17 日

ここのところ、イギリスの銀行で口座に関するエラーが続き、ちょっと凹んでるんですが、気を取り直して先月帰国してた時に行ったお気に入りの場所について書きます。

ナガオカケンメイさんがやっているD&DEPARTMENT。東京店に行きました。すごく好きでした。数日前に「情熱大陸」に出たようなので、今たくさんの人の噂にのぼって来客がひっきりなしかもしれないですね。

全国の埋もれたグッドデザインを発掘して蘇生させる独自のコンセプトはすでによく知られているし、わたしが紹介するまでもないと思うのですが、ここの醍醐味はレストランに詰まっていると思った。ぜひここでお昼を食べたり、お茶をしたりしてみてください。とっても懐かしい、誠実で温かく夢見がちだった頃の空気を思い出します。

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カトラリーや食器も「品のある」業務用の、とても使いやすいものなのだけど、何にもまして美味しいこと! 岩手に自社の農園のあること、スタッフがそこで農作業の実習をしたりする事を知って、納得しました。下の写真はドライカレー。美味しい〜。

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デザートに選んだシフォンケーキとメープルシロップのアイスクリームも満点。砂糖はサイズの違う角砂糖が混ぜて入れてあって、好きな量を選べる。こういう細やかな気遣い、すみずみまで清潔なレストランと調理場、気持ちの良い店員さん達。うーん。志の高い人のまわりには、同じ気持ちを共有する優秀な人たちが集まるのだな、、と唸ってしまった。

規模の小さな会社の、心のこもった業務や商品がなつかしい。そういうものに触れると、幸せな気持ちになる。そういうマインドの感じられる仕事だけを集めているD&DEPARTMENTでは、だからこんなに心安らぐ空気が流れているのですね。良質のアルチザンの結晶とでも呼びたい、オアシスのような場所。デザイナーとして日々誰とどんな仕事をしていきたいか。「D&DEPARTMENTに置いてもらえるような仕事をしたいなー。」と、目標のようなものが出来たのでした。

それにしても、手のつけようのない程大きくなって、カスタマー・サービスに血の気の通わなくなった会社とは付き合いたくないと思う。できれば商品を買いたくないし、無責任なサービスに出くわすのも不愉快。どこかに、誠実でなつかしい空気の漂う銀行はないかなぁ、、、。

ヴィンテージ自転車レース

2008 年 6 月 12 日

古い自転車を集めたり、修理して乗ったりするのが趣味な人が、実は世界中にたくさんいます。で、そういう人達が集まってレースをする会、というのもある。快晴の日曜日、西南ロンドンのHern Hillにある自転車競技場でそういうレースがありました。コレクター達と、ピクニック気分で応援に来ている家族や友人が、和気あいあいと集まって。

普通の路上では乗りにくい、レース用のペニー・ファーディングをサーキットで初めて試したわたしのパートナー。作られてから100年以上経っている自転車だけど、とりあえず走れるように調整できたみたいです。

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一見ふつうの自転車レースですが、参加はすべて戦前の自転車。近寄ってみると「ほんとだ古い、、」と分かる。ガレージの片隅で、こういう古い物をこつこつと修理するのが趣味な人たちが、たくさんいるのは面白いですね。そして、直したら乗って走る。

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車輪が木製の「Bone Shaker」と呼ばれる自転車も登場。 たしかに乗り心地が悪そうだ。

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実はわたしも、レディースのレースにちょこっと出ました。Caminargentというフランスのメーカーの1941年製のアルミフレームの自転車で。それが、今までのサイクリングやウォームアップでサーキットを何周かした時はなんともなかったのに、レースでちょっと真剣に飛ばしたら、後ろの車輪がぐらぐらに揺れてそれがハンドルまで伝わって、ものすごく怖かった。

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結果はビリ!ヴィンテージ自転車ファンからは絶賛のレアなものらしいけど、「ちょいと角までパンを買いに行くための自転車だから、もともとレース向きじゃないんだよ。」となぐさめられたのでした。まぁ、マシーンの問題だけじゃなく、わたしの脚力もぜんぜんダメですが。

「銀ちゃん2号」という愛称のこの自転車で、今月末にベルギーである「レトロ・ロンド」というサイクリングに参加します。20年以上古い自転車で、服装もレトロな人のみ参加というツーリング・イベント。今度はゆっくり走ります。

ネクタイ自転車レース

2008 年 6 月 11 日

土曜の夕方から、肉類卸し市場のSmithfield周辺で自転車レースが開催されました。Smithfield Nocturneと呼ばれるこのイベントは去年始まって、いろんなカテゴリーのレースがある。その中でわたしのお気に入りは「折りたたみ自転車レース」です。

別名「ロンドン通勤者レース」のこの競技のルールは
1)折りたたみ自転車で参加
2)ジャケット、ネクタイなど通勤の服装で参加
3)ヘルメット着用
4)折り畳んで置いた自転車まで10m走り、そこで自転車を組み立てて漕ぎ始める

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これだけたくさんの折りたたみ自転車を一度に見るのは珍しい。カンタンに組み立てられるけど走りは遅い自転車とか、組み立てに時間がかかるけど走り出したらぶち抜きできる高性能とか、いろんなメーカーの特徴も見えます。

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この二人が一位(右)と二位。とりあえずネクタイしてるけど下半身はレースパンツだし、かなり鍛えた足だよね。予選を勝ち抜いて最終レースに出たサイクリストの順位と自転車の種類がこのサイトに載ってました。
www.smithfieldnocturne.co.uk/foldingbikerace.html
こんなマジなレーサーもいるけど、半分くらいは本物の「通勤サイクリスト」。蝶ネクタイをしたビール腹のおじさんとか、タイトスカートにハイヒールのお姉さんなんかも出ててみんな楽しそうでした。

わたしの街乗り用の自転車は、このレースで一番たくさん見かけたBromptonです。愛称は「銀ちゃん1号」。2年前に最初に乗り始めて自転車の楽しさに目覚めたきっかけが、これです。

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これは一度折り畳んでセルフスタンドにしているところだけど、あと2回折り曲げて、サドルポストを縮めてロックするととてもコンパクト。その様子はブロンプトンのオフィシャルサイトに載ってます。とてもイギリスらしい自転車で、気に入ってます。なにしろ、地下鉄に持って乗れるほど小さいのに、しっかり走る。わたしのは部分的にチタンフレームで軽量化した3ギアで、小さなタイヤなのにかなりの速度が出ます。

来年までに少し体力をつけて(5キロを全速力で走りきる自信はまだないから)、この愛車で「通勤者レース」に出たいなと思っているところ。スピード出したまま、コーナーで転ばないように曲がる練習をしておいたほうがいいかな。あとは、ネクタイを調達して、、、。

小さな花

2008 年 6 月 3 日

あまり天気の冴えなかった日曜日。ロンドン北東郊外のCapel Manorというガーデンスクールでいろいろなテーマで作られた庭を見ました。どうやら、わたしは整いすぎているのよりも少しダラけた、野性味すら感じられる庭が好きみたいです。

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そして、小さな花が好き。
気づくと一生懸命になって写真を撮っていた。
何枚かお気に入りが撮れたので、拡大して見てみてください。

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バーバラ・ヘップワースのアトリエ

2008 年 6 月 2 日

前回の河井寛次郎記念館のことを書いていて、この春に訪れたバーバラ・ヘップワースのアトリエを思い出したので、続けて紹介します。写真を見返して、なにが共通してわたしを魅了するのかよくわかった。

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なんといっても、庭。「Museum & Garden 」と呼ばれているくらいなので。手が入っているけど、よい感じに自然味の残された庭。そこに彼女の作品が点々と置かれています。母屋から、一旦庭に出てアトリエに入る。

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ここは「思索室」。河井邸での庭を眺める茶室にも通じる、光溢れる温室。

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こちらは制作室。扱う素材もさまざまだったので、かなり広い。石彫のコーナー、石膏や粘土の場所、それを鋳型にする作業机など。ここも天窓から光がさんさんと入る。使われている道具や物の置き方など、乱雑な中にも美意識が徹底しているアトリエ。

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エントランスの上の階、母屋の一角にあるサロン。小さめの作品を置くギャラリーでもある。元夫で2人の娘の父だったベン・ニコルソンの作品が掛かっていたり。

住まいとアトリエの適度な距離感、表通りからはほとんど何も中の様子をうかがえない素っ気ないほどのたたずまい、中に入ると気持ちよく広がる庭と手作業で作られたり集められたりしたお気に入りの物たち。そんな場所を、家もアトリエも庭も、長い時間をかけて丁寧に作っていったのだなあ、と想像する。数々の作品の背景に、この楽しくも地道な作業も隠れていたことに思いを巡らせる。こんなに心惹かれるのは、それがわたしのやりたい事だからですね、きっと。

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この奥に、あの素敵な場所があるとは想像もできない入り口。坂道に沿った高い石垣で、庭の様子も見えないし。Tate St. Ivesの別館として公開されています。この夏にはバーナード・リーチのアトリエも公開になるそうです。魚の美味しいコーンウォールはロンドンからの週末旅行にもお薦めです。
http://www.tate.org.uk/stives/hepworth
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アトリエを出て5、6分歩くと海辺に出る。こんな風景を間近に見ながら制作していたなんて、、、いいなあ。

本文のおわりです。

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