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‘デザインのこと・design’ カテゴリーのアーカイブ

これ、誰がデザインしたの?

2009 年 11 月 19 日 木曜日

先日21_21 Design Sightの前庭ですれ違って立ち話をした、古い知り合いのデザイン・ジャーナリストの方から、メールが届きました。

excite.ismの中で彼女がもう一人のライターと共同で書いている、「デザインの現場」のオフィシャルブログ「これ、誰がデザインしたの?」にて、9月にLondon Design Festicalで展示した屋根瓦を載せた鳥小屋をレポートしてくれていたとのこと。読みました。先月このブログでも紹介した鳥小屋ですが、かなり地味な展示だったので、ちゃんと発見されていたのが嬉しいです。

そして、前後のデザイン系イベントのレポートを読むと、いくつか見慣れたものが出ていてちょっと可笑しくなったのでここで報告します。

まずは、 London Design Festicalの続きで街中の展示を見る途中で彼女が発見したヘンなものたち。「以下、これ誰がデザインしたの?と問いたいもの。」とありますが、掲載写真の2枚目(ダサいシャンプーのパッケージ)と5枚目(場所をとる宝くじの陳列台)は、ほぼ間違いなくわたしの隣人の仕事です。スタジオの隣に住んでいて毎日出勤していく隣人はパッケージデザイン事務所を主宰していて、わたしよりも高いデザイン料をチャージして、これらの「なぜ??」というデザインをクライアントに提供しています。頼む方のセンスを疑ってしまうこういうバブルでオールド・ファッションなものをしっかり笑ってくれているこの記事は小気味よいなぁ。

それから今月始めまでやっていた東京でのデザイン・イベントに関する記事で、7枚目に載っている赤い屋根の鳥小屋の写真は、ロンドンにスタジオを持つバルセロナ出身の友人、ロジャー・アーグヮーの作品です。以前に住んでいたアパートでねずみに悩まされた経験からデザインしたMousetrapsなど、ユーモアたっぷりの作品が特徴です。今回、東京でいくつかのオープニングに一緒に行ったので「彼氏?」と何度か聞かれたのですが、聞かなかったけどもしかして?と思った人に、ちがいまーす、友人でーす!とここにお断りしておきます。スタジオが近いのでよくランチを一緒にしたり、材料と鍋をモールトンの荷台にくくりつけて運んで、わたしのスタジオでパエリアを作ってくれたりする友人です。

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ロンドンは(他のどこの都市も同じだと思うけれど)こんなふうに、年齢や職業に関係なく、「うん、うん、そうだよね。」と共感をおぼえるタイプの仕事をする人と「どーして、こんな?」と思うような仕事をする人とが混在し、それぞれが毎日いい匂いをさせたり(隣人もなかなかの料理上手で、週末はよくローストの匂いがします)、冗談を言ったり、洗濯物を干したり、ハーブを育てたりして楽しく暮らしている街です。きっと、世界中がそんな感じなんだよね。

10月1日はデザインの日

2009 年 10 月 1 日 木曜日

1990年に当時の通商産業省、現在の経済産業省が制定したのだそうです。知っていました?

その「デザインの日」にちなんで、今日は久しぶりに本業のデザインについて書こうと思います。ちょうど、先週末にLondon Design Festivalの名のもと、たくさん開催された恒例のデザイン週間が終わったところです。

今年はわたしのスタジオでは「100% Design London」では「TEN-XYZ」というグループ展で鳥小屋をMARKという英国のレーベルからフロアランプを発表し、イースト・ロンドンの Rocket というギャラリーではコーヒーテーブルを展示しました。

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「TEN」は2006年にロンドン在住の友人デザイナーが10人集まり「見本市でもサステナブルを語るべきだ!」というスローガンで自主テーマ展を始め、それがその年の「ベスト・スタンド賞」を受賞したので翌年も続き、その翌年にはクラフツ・カウンシルがスポンサーになり、、というような経緯で4年目を迎えた展示です。毎年のプロジェクトやディスカッション、開発の過程などはブログ「TEN.blog」でレポートしています。

今年は東ロンドンにあるデジタル設備のラボ Metropolitan Worksがスポンサーについたので、展示のテーマは「持続可能性とデジタル・テクノロジーの融合」でした。

わたしのスタジオでは、サルベージ・ヤードで見つけた100年前の屋根瓦をラボのウォータージェット・カッターで小さく切り、パイン材をレーザーカットした壁を組み合わせた鳥小屋とえさ小屋をデザインしました。 レーザーカットする時に同時に模様も焼き付けることが出来るので、瓦の歴史を尊重したヴィクトリアン様式やジョージアン様式のファサードを持つ小屋になりました。

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英国の西端、コーンウォール州にある MARK は、発足から持続可能性と地域の産業の復興をコンセプトにした家具レーベルです。この会社のために、去年はノックダウンできる小さなテーブルを3種デザインしたのですが、今年はそれにフロアランプを足しました。

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背の高いランプですが、これもノックダウンできて細長い薄い箱におさまり、搬送時の環境負荷を減らそうと試みています。これからは、どの企業も製造や搬送のすべての過程で知恵をしぼってエネルギーの使い方を見直すことになるのだと思います。

左端のテーブルは延長コードやアダプターをしまっておくコンテナがついていて、充電用のプラグがハンドルの下からテーブル上にのぞいています。家に戻った時に携帯電話やiPod、デジタルカメラなどをテーブル上で充電するための家具です。

イーストロンドンのRocket Galleryでは「Book a Table」という企画展で、Benchmark Furnitureと共同開発したスタッキングできるコーヒーテーブル「Hexad」を発表しました。

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ムクのオーク材を組み合わせた六角形のテーブルで、組み合わせによっては細長いテーブルにしたり面積を大きくしたりできます。

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イギリス企業や友人たちとのプロジェクトはこれで一段落しました。この秋は、来年の春の見本市サローネに向けて、あちこち走り回ることになります。

光と影のワークショップ

2009 年 1 月 17 日 土曜日

オーストリアとスイスの国境のはざまにある人口3万7千人の小国、リヒテンシュタイン。冬は雪に覆われるこの小さな国に、経済と建築の学部だけを持つ大学があり、1930年代まで綿織物の工場だった建物を改築した気持ちの良いキャンパスがあります。東京芸大と提携校になっている建築科では毎年、留学生を交換しているのだそうです。

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この大学で、毎年1月の始めに建築以外の分野から講師を招いてワークショップをするプログラムがあり、演劇家、グラフィック・デザイナー、彫刻家、テキスタイル・デザイナー、印刷の専門家、ミュージシャンなどと混ざってわたしも課題を出しました。「Light Made Tactile」というタイトルで「空間の中で光を感じ、それを増幅して他の人と分かち合うための装置をデザインして、作る」という内容。建築科の学部生、院生に混ざり、リヒテンシュタインにもう一校あるアート・スクールから若い予備校生たちが3人加わり、年齢も国籍も言語もまざった16人の学生との7日間でした。

学生は最初の数日で誰かとシェアしたい「光の効果」を発見し、それを再現する実験をする。そのテストの途中でだんだんと最終的にデザインするものの姿が見えて来て、成果物はいろいろなアプリーチから違ったものが出来上がりました。

小さな部屋に仕込まれた舞台を作ったグループは、椅子にカバーをかけ音楽も選んでリラクゼーションの空間を作った。近くの山から竹をたくさん切って来て、アトリエの中央に巨大な照明器具を作った学生。手で持ってビーズを転がして遊ぶ照明を精緻な設計とレーザーカットで作った二人組。スクリーンに影を写すパフォーマンスの道具もあった。コンセプチュアルで面白かったのが、光だけに焦点をしぼって校内を歩き回るためのゴーグルと、地図のセットを作ったアムステルダムからの大学院生たち。彼らは同じコースを普通に撮影したものとこのゴーグルをつけた2つのムービーを同時に見せ、気づかない場所にふわっと浮き出る光の反射や建物がもつ陰翳の楽しさを、そこで毎日過ごす人たちに教えたのでした。

わたしの役目は最初に光が空間にどんな働きかけをするかという例を挙げ、少しだけ建築やアートやデザインのサンプルを見せて「もっと楽しくなるよ」と学生のイマジネーションのスイッチを入れる。学生がアイデアを話し始めたら脳の中にあるものを見せて!スケッチとかモデルにならない?まだ、やりたい事がよく分からないけど、、、と具現化をうながし、実際のデザインが始まったら「余分な要素は『光』に集中するさまたげになる!」とディテールのリファインを勧める。そして、ゴールの見え始めたプロジェクトごとにどんなプレゼンが一番効果的か考える手助けをする。

「光を感じる」には冬のアルプス地方は適していないかも?と行く前は心配していたのですが、雪と青空と霧との壮大なショーを延々やっているようなロケーションで、学舎も古い木の梁とミニマムな仕上がりの改築部分のコントラストが気持ちよい場所。わたしにもスイッチが入ってカメラを手放せず、たくさんの光と影の写真を撮ったのでした。

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文明の交差点

2008 年 8 月 5 日 火曜日

Vitra Design Workshopの続きです。

この場所が特別なのは、たくさんの国からいろんな夢を持った人が集まって「デザイン」をキーワードに濃い時間を過ごす、その集合場所だからだと思うのです。さまざまな背景を持つ人たちが、作品を通して他の文化を体感し、いろいろなものを「exchange」する。

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場所そのものにも「exchange」がある。フランスの片田舎の農場で、柳宗理さんのエレファント・スツールが迎えてくれる。遠く日本でデザインされた家具が、何年ものちにドイツの会社から発売され、ここの風景のひとつになっているののを見て、最近読み返した本にあった柳さんのスタジオの写真を思い出しました。中庭でそのスツールを重ねて作業しているのはイギリスで学生をしているドイツ人。

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「風の模様」を作ったのはアメリカに住む韓国人と、スペインに住むメキシコ人とノルウェーから来たデザイナーの3人。異文化の中で切磋琢磨してる人は、共同作業のやり方が柔軟で、自分の意見もしっかり言う。「かわいい子には旅をさせろ」というのはこの事だな、と思ったり。この3人は趣味がうまく重なったようで、始終楽しそうにいろんな実験をしていた。出来た作品をみて「日本的!」と言った人がいたけど、、、不思議なものです。

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このうちの一人メキシコ人のXimena(ヒメナ)はわたしと同世代で、高岡にある富山デザインセンターで10年ほど前に留学生研修をしたとのこと。わたしも以前、富山県氷見市の街灯をデザインする仕事でセンターのお世話になったことがあり、その工房の頼りになるエンジニア「Yoshida-san」のことを、時空を超えて二人で懐かしく話したのでした。

その時に浮かんだ言葉が「文明の交差点」。
たくさんの人の、いろんな体験や知識から繰り出されるアイデアやインスピレーション、想い出やワクワクがふと足を止める場所。今まであまり知らなかった国のことに興味をもったり、友だちができたりする場所。

面白かったのは南米の人たちとの出会いでした。

選抜を勝ち抜き国費でワークショップに参加しているメキシコ人の女の子たちは勤勉でした。チリ出身でバルセロナに住み秋からはローマで仕事が決まっているという女性は、ティーンエージャーの娘をその父に託し、一週間おおいに羽を伸ばしていた。タティアナというロシアな名前でアジアな顔だちの女の子は、日系ブラジル人。日本語は話せないからわたしとの会話は英語で。でも彼女がポルトガル語で一生懸命アイデアを話すと、スペイン語圏のメキシコ人やスペイン人にはちゃんと通じるのです。みんなまとめて、元気だったなー、南米の女性たち。振る舞いはラテンなんだけど、どこか懐かしい感じのする顔だちと小粒な体型。みんなよく飲み、よく話す。

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工房のアシスタントや調理場の手伝いをしていた若いデザイナーたちは、ひと夏ここに滞在して工房やキッチンで働いて、いくつか自分もワークショップに参加する、 という交換条件のボランティアのような人たちで、いつもながら気持ちのよい若者が集まっていました。写真のスクーターは、そのうちの一人が実家から持って来た旧東ドイツ製。彼は、照明デザイナー、Ulrike Brandiが連れて来ていた3人の小学生に竹で笛を作るやり方を教えてあげたり、夕食後のバトミントン・トーナメントのトロフィーを彼らが作るのを手伝ったりする素敵なお兄さんでした。

3位のトロフィーは今、わたしのスタジオに飾られています。ダブルスを組んだリバプールの建築家Robert Kronenburgのオフィスに、いつか持って遊びに行く予定。

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デザイン・ワークショップ

2008 年 8 月 1 日 金曜日

フランスの田園地帯にある農場でVitra Design Museumのデザイン・ワークショップをやってきました。アシスタント2人と、9カ国から集まった14人の参加者と一緒に過ごした1週間。

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Boisbuchet(「ブワブシェ」と発音します)と呼ばれる場所。今回で4度目なのだけど、遠くからこのお城が見えはじめるとわくわくする。泳げる湖があり川も流れていて、菜園や牧場があって馬やロバがその辺りにいる。そして、敷地内には今までのワークショップで作られたり、建築プロジェクトとして建てられた小屋や家が点々と在ります。坂茂さんの紙管の小屋もあります。

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一日目の朝の工房の施設紹介。この週は建築と照明とデザインの3つのワークショップが並走して、それぞれ15人ずつぐらいの参加者。ワークショップの説明や共通の言語は英語。でもあちこちで、いろんな言葉が飛び交う。メキシコからたくさん参加していてスペイン語がいちばん優勢。次が韓国語、そしてドイツ語の順だった。日本からの参加はなし。これは初めてのことで、ちょっと淋しかったです。下は工房アシスタントの3人が機材や材料の説明をしているところ。

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暑すぎたり雨が降ったりすると作業をする場所になる巨大な納屋。 下の写真は、その床に並んでいる参加者の作品の一部です。木陰にロープで吊したペンが風に揺られて模様を描く、というもの。場所と時間とそこに流れる空気を切り取った模様が美しい。

今回のワークショップは「Air Made Visible」というタイトルで、この場所に身を置いて感じた要素を、目に見えたり体験できる物や装置に置き換え、他の参加者がそれを追体験する、というテーマ。出来上がった作品をみんなで鑑賞したり触ったり遊んだりするのももちろん楽しいのだけど、そこに行き着くまでのプロセスで得られるいろいろな発見がとても大事だし、場所にふさわしい素材と形を与えると成果物がとても「心地よい」ものになることを、あらためて感じたのでした。ワークショップを通して参加者に何かを伝えられるとしたら、そういう発見の楽しさと自分の作ったもので心地よく遊ぶその快楽なのかもしれない、、、と。

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たった独りのフランス人は地元出身のシェフ。腕をふるってくれ、シュークリームとかアップルクランブルとか、スイーツも今まで以上に充実していた。菜園から野菜を収穫して、これがサラダになるのです。総勢80人ほどになる朝昼晩の食事。天気がよかったので、ずっと外で食べた。ゴングが鳴ると、工房や納屋、草原や湖からみんながここに戻ってくる。

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木陰で制作。出来上がったのが下の写真です。彼女はちいさな草花のデリケートな構造に魅せられて、それを拡大し、花弁の中を歩き回る虫の気分になれるような風で動くオブジェを作った。

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これも作品のひとつ、籐で編まれた直径1メートルぐらいのボール。風が吹くと草の上を優雅に転がっていく。風景と一体になって、これもとても「Air Made Visible」でした。

自然の中で1週間過ごすと、帰りに寄った空港のある街Poitiersですら、ホコリぽくてがちゃがちゃした、視覚ノイズの多い場所に感じられて驚きました。スタジオに戻ってすでに4日目なのに、まだぼーっと、草の匂いや朝露が足に冷たかったあの感じを思い出している。たくさんの笑顔と語られた夢とプレゼンの時の緊張感を思い出す。写真を見ては「また、どこかで会おうね」と微笑んでしまう、Boisbuchetはそういう魔法のかかった場所です。

小冊子 ‘d’

2008 年 6 月 24 日 火曜日

前回に引き続き、D&DEPARTMENTについて。

ナガオカさんのさまざまな活動の中でもとくに評価するのは、出版やHPやブログでその考え方や活動のプロセスを広く世間に知ってもらおうとする、その努力です。これはとても根気のいる、しかも結果の見えにくいことで、長く続けてやっとその真価を計る事ができることだと思う。そして、自らの考えをまとめて整理し、行く先を考える時にとても重要な作業だと思うのです。

帰国するたびに、本屋で見つけたら買っていた彼らの雑誌「d」

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丁寧な取材の結果がレポートされ、今まで知らなかったことがいつも紹介されていて、楽しい驚きがある。ナガオカさんとそのチームの「ロングライフデザイン」に対するいろいろな角度からの考察と、その熱意にいつも感心しながら読んでいました。

特に好きだったのが、写真に撮った2冊。8号の『サンタクロースとは何か?』を読んで、不覚にも新幹線の中でぽろっと涙をこぼし、ルイス・カーンの言葉にボーゼンと車窓から過ぎ行く風景を眺めた。9号は、落ち込んでる時に読んだのでハッリ・コスキネンの笑顔に癒され、話題になっていた「PSE法」について学び、三國シェフの話の深さに打たれ、深澤直人さんのスピッツ評に思い切りうなづいたり(たまたま、数日前に偶然スピッツを聴いていたのです)して、読み終わる頃には元気になっていて、、、と、2冊丸ごと心から楽しんだのでした。

先日のお店訪問で何冊かまとめてバックナンバーを入手し、最新号の編集後記を読んだら、今までの形態では売れなかったので、休刊してリニューアルします、とあった。デザインが語られる時にそれが表沙汰になる「順番」についての考察が、そのままこの小冊子への自らの批評だったのは、象徴的なことかもしれない、、と、名残を惜しみつつも納得しました。大資本の力を借りずに20号も出版した、それは大変な事だったと思う。そこから利益が生まれなければサステナブルとは言えない、という判断。

正直淋しいですが、計画中の次の出版物を楽しみにしています。そして、日々考えていることを丁寧に記録し残し共有していく、その姿勢に学びたいと思う。そう、わたしがこのブログを始めたのも「d」に触発されての事だったのかもしれないと、今となっては思うのです。

なつかしい空気

2008 年 6 月 17 日 火曜日

イギリスの銀行で口座に関するエラーが続き凹んでるんですが、気を取り直して先月帰国してた時に行ったお気に入りの場所について書きます。

ナガオカケンメイさんがやっているD&DEPARTMENT。東京店に行きました。数日前に「情熱大陸」に出たようなので、今たくさんの人の噂にのぼって来客がひっきりなしかもしれないですね。

全国の埋もれたグッドデザインを発掘して蘇生させる独自のコンセプトはすでによく知られているし、わたしが紹介するまでもないと思うのですが、ここの醍醐味はレストランに詰まっていると思った。ぜひここでお昼を食べたり、お茶をしたりしてみてください。とっても懐かしい、誠実で温かく夢見がちだった頃の空気を思い出します。

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カトラリーや食器も「品のある」業務用の、とても使いやすいものなのだけど、何にもまして美味しいこと! 岩手に自社の農園のあること、スタッフがそこで農作業の実習をしたりする事を知って、納得しました。下の写真はドライカレー。

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シフォンケーキとメープルシロップのアイスクリームも満点。サイズの違う角砂糖が混ぜて入れてあって、好きな量を選べる。こういう細やかな気遣い、すみずみまで清潔なレストランと調理場、気持ちの良い店員さん達。うーん。志の高い人のまわりには、同じ気持ちを共有する優秀な人たちが集まるのだな、、と唸ってしまった。

規模の小さな会社の、心のこもった業務や商品がなつかしい。そういうものに触れると、幸せな気持ちになる。そういうマインドの感じられる仕事だけを集めているD&DEPARTMENTでは、だからこんなに心安らぐ空気が流れているのですね。良質のアルチザンの結晶とでも呼びたい、オアシスのような場所。デザイナーとして日々誰とどんな仕事をしていきたいか。「D&DEPARTMENTに置いてもらえるような仕事をしたいなー。」と、目標のようなものが出来たのでした。

それにしても、手のつけようのない程大きくなって、カスタマー・サービスに血の気の通わなくなった会社とは付き合いたくないと思う。できれば商品を買いたくないし、無責任なサービスに出くわすのも不愉快。どこかに、誠実でなつかしい空気の漂う銀行はないかなぁ、、、。

Gio Ponti

2008 年 4 月 23 日 水曜日

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のびのびとしたドローイング。おちゃめなで色鮮やかな手紙。
人生楽しんでいる感じですね、いいですねー。家にも羽根が付いてる!?と思ったら、ちがった。天使の羽根が家の向こうに見えてるのね。。。

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Triennaleでやっていたフランスのカトラリーの会社CHRISTOFLEの展示で。今までここの高級カトラリーを特にいいと思った事はなかったのだけど、こういう感じのコラボレーションだったのか、と見直した。製品の「おおらかさ」というのは、こんなふうにして生まれるのね。なるほど、、、。

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プロセスを見る

2008 年 4 月 22 日 火曜日

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今年のサローネでとても面白かったのは、Konstantin GrcicがPLANKのためにデザインした椅子の開発の過程をTriennaleで展示していたもの。

ワイヤーネットで囲んだ工場の中のようなセットになっていて、プラスティックを混ぜて色を作る機械があったり、強度試験のための装置にその椅子が入って砂袋が載せられていたり、ヘルメットやゴーグルなんかを着けるように、という工場によくあるサインがあちこちに貼られたりして、本人も楽しんだな、これは、、という感じ。入り口横に、ちゃんとロッカーがあって作業服が掛かっているし、さりげなく消化器なんかも置かれている。

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なにより面白かったのは、紙やフォームで形を検討している原寸の模型から、実際のプラスティックでつくった試作、それがばらばらに砕けている写真など、この椅子の開発のプロセスが実物や写真でふんだんに展示されていること。プラスティックの鋳込みが途中で止まってるのは、粘度と厚みと圧力の関係で素材が端までとどかなかったんだな、、、などと腕を組んで考えてしまう失敗作が堂々と飾られている。見ていてほんとうに楽しいのです。

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偉いなー、コンスタンティン。素晴らしい。

デザイナーと工場のこんなやりとりを見るのは、若い人たちだけじゃなく、わたしにもとても勉強になる。
このプロセスを見て、自分もこの技術を使いたいと思うデザイナーが出て来るだろうし、でもこれだけ見せられたら、意地でも違ったやり方でこの技術を使いたいと思うのがデザイナーってもんです。そして、別の今までデザインの表舞台に出て来なかったような加工技術でも、共同作業をして新しい実験をする可能性がまだまだあるのかも、と思わせてくれる。

彼のHPのプロジェクトのトップ「MYTO」に、この椅子の強度実験をしてる映像が出てます。 わわわ!!びよょ〜ん!

***

出来上がった椅子が好きか嫌いか、というのはまた別問題で、これは一緒に暮らしたくなるような椅子ではないな、というのがまあ、正直なわたしの意見です。Magisから出ているChair_ONEはスタジオで使ってるけど、あれがぎりぎりかな。

今年もう一カ所、Cassinaから出ていた合板と皮の2脚の椅子、これはアイデアも仕上がりも質感も、どれをとっても完成度の高い椅子でした。こういう仕事をいちはやく見れるのが、ミラノの素晴らしいところですね。真ん中は、 新作の椅子に座ってインタビューを受けているコンスタンティンを撮ったスナップ。今年はヒゲもじゃですね。

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ミラノ歩き疲れ

2008 年 4 月 20 日 日曜日

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ミラノからロンドンに戻りました。
疲れた、、、。足がまだパンパンです。

どうにかサバイバルし、今年もたくさんの人にお会いできました。

作品を見にわざわざ出向いて下さった方々、ありがとうございます。おかげさまで幸先の良いスタートを切っているようで、Zilioの社長が喜んで連絡をくれます。Corso Garibaldi, 65の「Urushi」というショールームの店頭にもしばらくは置いてあるようなので、お近くを通られる方はぜひ。開店時間などはわたしのHPのNEWS欄に。

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毎年ミラノでしか会わないデザイナーの友人にもたくさん会い、刺激を受けました。新作も星の数ほど見てまだ消化しきれず「知恵熱」状態です。今年の傾向などはこのdesign-hugやミラノの皆さんのレポートにお任せし、まずは4日間で撮った600枚近い写真の中から、好きなのを何枚か。

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↑見本市会場Fieraでつかの間の日光を楽しんだ初日の水曜日。よいお天気の日に、ずっと巨大なインドア会場内を歩き回るのは少しもったいない気がしました。会場の建物に池の反射光が動く回廊からの眺め。
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↑ 東京からのパワフルな3チーム、TONERICOとCURIOCITYとWOWの展示。ミラノに居てまだ行っていない人はぜひ。商業主義が全開で「下品でもなんでも、ひときわ目立ってモノが売れさえすればいいのだ」という風潮が強い中で、心洗われる展示です。大資本ではない個人の出展で、この完成度の高さもすばらしい。こういうTOKYOはどんどん世界に出て来て欲しいと思う。
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↑ Tortona地区で特に、元工場の建物をセンス良くギャラリーに改築しているのはミラノの魅力ですね。
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↑ 展示会2日目に、すでにたくさんの人が歩いてカッティングシートの装飾がはがれてしまったギャラリーの床。今年は花柄とか葉っぱの模様が多すぎてちょっと閉口気味だったけど、こんな風にうっすら見えるのは好きだな。
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↑ 自転車があったらミラノでの移動が楽なのに、、、と思い続けているので、街のあちこちで自転車が目に留まる。このサイズなら乗れなくもないかな??と思ったり。貸し自転車はサイズが大きくて無理そうなので、来年はどうにかして自分の折りたたみ自転車を持ち込みたい。

***

それにしても、15回目のサローネだけど、この時期のミラノは本当に疲れる。

いろいろ新しいものを見たいし人にも会いたいし、クライアントやプレスとのミーティングも合間にある。夜はちゃんと座って、久しぶりに会う友人と食事もしたい。なのに、見本市会場や街中のギャラリー、レストランやホテルをつなぐ交通網がわたしたち訪問者に本当に使いにくいのがミラノです。

朝夕の地下鉄は混み混みでよく遅れ、時に止まる。タクシー乗り場はどこも長蛇の列で、品のない割り込みも横行。諦めてホテルまで1時間近く歩き続け る、ということも起こる。朝から晩まで展示会を見て歩いたあとには、ミラノの美しい石畳も恨めしい。

ホテルはどこも日頃の3-4倍の金額をふっかける。 チェックアウトした後に預けた荷物が人通りの多い廊下に置かれるのは不安なので、中央駅で預けようとしたら150人ぐらいが行列していてスペース空き待ちだと言っている。諦め、重いスーツケースと一緒に工事中で下りエスカレーターが動いていない駅を通り抜けてタクシーに並んだらここも30人待ち。乗り場の手前で割り込みしようとする身なりの良いビジネスマンに猛烈な抗議をし、列の数人から心強いバックアップを受けて撃退するも、目当ての展示に着く頃にはもうぐったり。

それでも、やっぱり行かないと話にならないので、来年からはどうやって快適に過ごすか、すでに考え始めています。

本文のおわりです。

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