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本文のはじまりです。

2008 年 9 月 30 日

気づくと9月も最終日。秋はイベント続きで、気づかないうちにどんどん深まってしまいます。ロンドンは朝晩かなり冷え込むようになり、予報では今週の後半には3度まで下がるらしい。えー、冬がそこまで来ている。。。

毎年、この時期に恒例のヴィンテージ自転車のオークションというのが友人の元農場で開催され、わたしはパートナーが丸一日かけてそれに参加するのを横で見ていたり、ジャンブル・セールを冷やかして歩いたり、たまに留守番で売り子をしたり、農場を散歩して木の実を集めたりする。今年はお天気がよかったので、紅葉しはじめた田園を楽しみました。これが友人の経営する「The Old Bicycle Co.」のオフィス外観。

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ちょうど読んでいた本「ひとつ、村上さんでやってみるか」にはさんで、押し葉にしました。同じ木からも、いろんな色の葉が落ちる。下は野バラの実、ローズヒップ。かわいい。

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これはsloeという名前、別名Blackthornの木の実で、これをジンに漬け込むとスロージンという香りの良い赤いお酒になります。さっそく摘んで帰り、砂糖と一緒に漬け込みました。写真は一夜明けた朝の様子。

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右のジャーはブラックベリーとりんごのジャム。りんごは農園の木にたわわになっていて、これ全部でジャムを作ったら売るくらい出来るな、、、と思ったのでした。でも、ジャーはオーブンで、フタは熱湯で消毒しないといけないし、ジャムも煮詰まるまで時間がかかってけっこう手間。 それでも、ただで収穫した秋の味覚で冬に備える、というのはけっこう楽しいものです。

オート・ジャンブル

2008 年 9 月 16 日

ロンドンから南西に2時間ほど車を走らせ、サウザンプトンの近くのBeaulieu(ビューリーと発音)という小さな街で毎年開かれる「オート・ジャンブル」というのに行ってきました。

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2,000軒の小さな屋台が芝生の丘にずらーっと並ぶ様子は壮観。ごちゃごちゃと、所狭しと、ヴィンテージの車の部品や古い自転車、車やオートバイや自転車に関係するありとあらゆる物が売られるのです。

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エントランスを入ったメインの通りはアルミ板で道が出来てるけど、ちょっと外れると草原です。前夜の雨で地面がぐずぐずなので、長靴が一番正しい履物。気合いの入った人は、こういうカートを引いて買い物にやって来る。飛行機のおもちゃを売る人、おもちゃの車のタイヤばっかり並べてる店。売れるのかな?

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1920年代のピクニック・セットがあって、かなり真剣に欲しかった。けど、高い割に使えそうにないのです。インテリアの飾りにしては場所をとるしなぁ、、、。ヴィンテージな自転車の部品もあちこちに。

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端の通りにあったのはムーアの彫刻ではなく、車のボディーでした。思いっきり錆びてますが。もっとさびさびのボディ部品だけ売ってる店もあり。並んでるってことは、買う人もいるのか、、。

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ハンドルの専門店と、オイル缶のスペシャリスト。トニー・クラッグの80年代の作品のインスピレーションはここからか?

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出店者の多くは2日間その場でキャンプしていて、あちこちに素敵なモーバイル・キッチンがあって美味しそうな匂いが漂っている。コンパクトで軽やかで、いいなぁ、こういう暮らしも、、、なんて思いながら、つい足を止めて見入ってしまうのでした。

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大好きな場所

2008 年 9 月 12 日

8月の末にAXISでフォーラムをやった時に出会ったデザイナーのひとりに「イギリスを観光するなら、外せない場所は?」と訊かれたのですが、その時に「design-hugのブログで書くから」と答えてから2週間以上経ちますね。えっと、、、すでに旅立ってしまったでしょうか?イギリスでもネットにつながれてることを祈って。ここ、ここです!

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Kettle’s Yard。ケンブリッジの中心街から少しだけ歩いた場所にあるアートギャラリーの隣に、1930年代にテート・ギャラリーのキュレーターだった人が古いコテージを改築した住まいとアートコレクションが残っていて、それが一般公開されています。わたしはここが大好きで、これは英国の宝だと思っています。

入り口は見逃してしまうほど素っ気ない小さなドアで、ぶら下がっているリングを引っ張ると係の人がドアを開けてくれます。  まず迎えてくれるのはカンディンスキーの版画。そして、夫妻が何十年もの年月をかけて集めたというビーチで拾った「限りなく球に近い石」たち。小さな彫刻 と庭の花と、貝殻やガラス玉と一緒に明るい窓辺に飾られています。もうここで、ため息が。

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トイレと洗面台の間にベン・ニコルソンの版画。。。うーーーん。。素敵すぎてしばし絶句。
階段下の小さな空間にピアノが。その上にはさりげなくぽつっと、ブランクーシ。あぁぁーー。

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他にも、コーンウォールの風景画家で知的障害者だったブライアン・ピアースがたくさんコレクションされているし、ロジャー・ヒルトンの絵画、バーバラ・ヘップワース、ナウム・ガボにヘンリー・ムーアの彫刻、ルーシー・リーの陶器も。それが、小さなコッテージ3棟を1930年代後半のモダン様式でギャラリーとライブラリーをで繋いだ素晴らしい住まいに小石や植物の種、金属の破片、ヴィクトリアンのガラス器、ナヴァホの織物なんかと同等に仲良く飾られている。好きな人だったら、宝探しのような訪問になると思います。

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この住まいが、アートコレクションと当時の什器そのままケンブリッジ大学に寄贈され無料で公開されているという、そのスピリットにいたく感動します。インテリアを撮影したい人 は3ポンドのチャージを払って入り口で許可を得ますが、中に入ったら「本当に3ポンドでいいんでしょうか?」といつも思います。「帰りたくなーい!ここに泊まる。」と何度行っても思う場所なのです。

Have a good journey.

眺めのいい部屋

2008 年 9 月 4 日

一週間ほど、赤坂にある「グランドプリンスホテル赤坂」に滞在しました。実は、お気に入りの東京の宿です。

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フロアプランがとてもよく出来ているので、どの部屋も「角部屋」で窓が大きく眺めが良い。部屋の照明を落として、夜景を楽しむのが大好きなわたしには「ハズレなし」の嬉しいホテル。東京タワーが見えるとさらに嬉しいのはなぜ。

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飾りすぎてない、素っ気ないくらいのインテリアも好み。サーリネンの椅子が似合う空間。廊下のドアを開けて、まず長い廊下があるのも好き。距離があるから、廊下の音もベッドまでは届かない。

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その廊下にはクローゼットと並んで冷蔵庫やミニバーのセットもある。バスルームの入り口もこの廊下に面しているし、片面は大きな鏡で姿見もばっちり。雑多だれど必要な道具たちが寝室からは見えないのはいいですね。よく出来てる、ここのプラン!とどのタイプの部屋に泊まっても感心します。

洗面台とバスルームも、質実剛健で気持ちよい。3面鏡になってるのも使いやすい。たっぷり物を置けるスペースがあって、鏡に近づくことが出来て、しっかり した照明があること。これが洗面台まわりの3大条件だと思うのだけど、ここは掃除しやすい素材で使用後も「こざっぱり」保てて、ほんとうに気持ちよいので す。デザイナーズホテルにありがちな「水しぶきが散ったらもう台なし」みたいな洗面台周りが大嫌いなので。

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エレベーターホールにある電話台、これもサーリネンかな?時代が一巡して、レトロと言うには「今」にしっくり落ち着く感じ。

この丹下健三設計の新館は1983年にオープンした建物で、ウィキペディアによると「大規模改修が行なわれず老朽化が進んでいる。地域再開発も含めて検討課題とされている。」とあるけど、えー?再開発なんてしないで、この親しみやすい「赤プリ」はこのまま残しましょうよ〜。

ホテルマン&ウーマンがとても気持ちよいのもここの特徴。他のプリンスホテルのようにチェックアウトで並んだりしなくていいし、鍵を残して出かける時もフロントに着くまでに誰かが来て預かってくれます。わたしは去年の秋にも10日ほど滞在して、ここのセーフティーボックスにパスポートや通帳、外貨なんかを一切合切置き忘れたのだけど(迷惑な客ですね、、)、ものすごく丁寧に対応してくれて次の宿まで書留で送ってくれました。

「ノー・クリーニング券」というのも、好き。「今日は掃除とタオル交換は必要ないです」という紙に記入して残しておくと、ゴミ箱だけは空になってて、あとで「館内で使える1,000円券」というのを渡されます。つまりは宿泊費の割引ですね。部屋にたっぷり置いてあるタオルを毎日替えてもらわなくてもぜんぜん平気だし、シーツだって一晩ではそんなに汚れないもの。いつも「ホテルって、環境に悪い、、」と思っているので、少しだけ気が軽くなる。で、この券を持って朝食を食べに行くのです。高級レストランか料亭しか選べない朝食がとっても高いのだけが不満で、いつも「素泊まり」なので。

コンポスト・マニア

2008 年 8 月 12 日

今年の1月に、スタジオの裏庭にコンポストの場所を作った。「コンポスト」とは、畑作りなどに使う有機堆肥のことです。

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フタつきの、逆さまにしたブリキのバケツみたいな容器がコンポスト・ビンです。底板はなくて中のものが直接土に乗っているので、ミミズは底から自由に出入りできる。ここに、キッチンで出る野菜くずや再生紙の卵の箱、段ボールの切れ端、植物の葉を刈ったりしたものをどんどん入れて時々かき混ぜると、バクテリアの働きで分解され、7〜8ヶ月後には栄養たっぷりの土になる。底の右手にあるドアみたいなのを上に引いて、出来た土を底からかき出す仕組み。

これは、画期的です。

なにしろ、ゴミが減った。以前は週に2回はくくって出していた20リットル袋のキッチンのゴミは、なんと4分の1に減った。今では2週間に1回しか出さないので、夏場は臭くなるので容量の小さいのに替えようかと思っているぐらい。よい土をつくるためには「茶色系」の紙とか枯れ葉を生ゴミとほぼ同量混ぜないといけないので、トイレットペーパーの芯やキッチンペーパーの芯もすべてちぎってここに入れる。コーヒーのかすやお茶の葉、ティーバッグもここへ。郵便物の封筒や梱包材も、漂白のされていないものはここへ。

野菜の洗い方も変わった。せっかく野菜についてくるオーガニックな土が下水に流されるのがもったいないので、にんじんやじゃがいもはまずピーラーで皮を剥いて、土のついた皮をコンポスト行きの紙バッグに移してから、水洗い。

気温の低い冬場はあまり生物分解が進まないので、あっと言う間に「素材」がビンの中に積もって、これだと2台目がすぐに必要になるなあ、、と思っていたら、温かくなったらビン全体が発酵、分解の熱で温かくなって、中味がぐんぐん減り始めた。分解が進んで、完全に土になる頃には容量が元の素材の75分の1になるのだそうです。ビンの中は臭くなる事はなく、いつも土の匂いがしている。

そして先日、ようやく土になったこの肥料を使い始めたのです。中庭で育っているトマトとかぼちゃの鉢に、この土を足してみた。 栄養価のほどはまだわからないけど、今まで焼却場まで運ばれて燃やされていたゴミが、こうやって微生物の力を借りるだけで使える土になるなんて、嬉しいです。地球が持っている循環システムは素晴らしいなぁ、と思う。

わたしのスタジオに来るインターンシップは、まずキッチンの使い方を知って、スタジオのHPからリンクがあるコンポスト・ガイドを読むように伝える。だって、知らないで野菜を大きいまま放り込んだり、チーズのかけらを入れたりしたら困るのもの。

最近読んだある記事に、コンポストの栄養バランスを整えるよい素材のひとつに「髪の毛」がある と書かれていた。野菜が、元気に大きく育つんだそうです。ほほーぅ。わたしはもともと、排水管のつまりが心配で髪を洗った時に流さないで集めていたので、これをゴミ箱に入れる替わりにコンポストに入れてみる事に。これで育つのは来年のトマトだけど、ともかく実験。こうやって有機肥料に足すなら、薬剤を使ったヘアカラーはもうやらないほうがいいかな、、、と思う。でも、そこまで考えるなんてちょっとマニアックな感じ?と我ながらふと思ったのでした。

野菜を育てている人には、分かってもらえるでしょうか?安全で元気なのを育てたいですものね。写真は鉢植えのプチトマト。夏が終わる前に、赤くなれ〜。

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正しい足元

2008 年 8 月 6 日

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今回のVitra Design Workshopに持って行ったパタゴニアのサンダルは、すごーく履き心地が良くてわたしは幸せでした。コルクの底が足に馴染んで脱げないし、底がしっかりしているので舗装してない道や草原も歩きやすい。空気が通って涼しく、朝露の冷たさなんかもちゃんと感じられる。この靴で歩くと楽しいので、わざと道ではない草原をつっきって、泊まっていた部屋とみんなの集まる広場を何度も往復しました。

イギリスの森では夏でも「muddy boots」と呼ばれるしっかりした靴を履かないとどろんこになるから、どうもその感覚が抜けなくて2年前は厚底のトレッキング靴を持って行って、同じ場所なのに歩いた印象がずいぶん違った。さらにその前は街用のスニーカーだったりビーチサンダルで指の股にマメを作ったりした(かなりな距離を歩くから)ので、4度目にして初めて、ふさわしい足元で一週間を過ごしたなー、と思います。

今またロンドンに戻って、まだ少し枯れ草のついているこのサンダルを履いてあの空気を懐かしんでいるのだけど、どうもしっくりこない。スタジオでは足元が冷えて落ち着かないし、街を歩くと横滑りする気がする。なぜ?と思ったら、歩く速度がまったく違っていたのでした。あんまり治安のよろしくないわたしのスタジオの周りでは、どうもせかせかと先を急ぐ歩き方になっているみたい。

場所と靴の関係は、単に歩いている表面の質感や温度や湿度だけではなく、どんな気分で歩いているかも関係するのですね。まさに夏休みの足元だったんだ、このサンダル(仕事してたんですけどね、いちおう)。

I took this woven sandal to Boisbuchet, at Vitra Design Workshops this summer. It was so appropriate and I had different experience from other type of shoes I took early years. Thick soled tracking shoes did not give me nice moisture impression from walking on wet morning grass fields. So, I walked wherever not surfaced, enjoyed temparature, texture and hairy grass on my feet.

Now, I am back to my studio in London, wear these shoes and miss the atmosphere of Boisbuchet, but they do not react in the same way - I feel cold from foot in my studio, also slippery when I walk neighbourhood in this pair. Why? I realise that speed of walking is much faster in town, esepecially in rough quarter of London. I am not totally relaxed here, so this pair of sandales are for special occasion. It was perfect at Boisbuchet.

文明の交差点

2008 年 8 月 5 日

Vitra Design Workshopの続きです。

この場所が特別なのは、たくさんの国からいろんな夢を持った人が集まって「デザイン」をキーワードに濃い時間を過ごす、その「集合場所」を提供していることだと思うのです。そこではいろんな背景を持つ人たちが、作品を通して他の文化を体感し、いろいろなものを「exchange」する。

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場所そのものにも「exchange」が。最寄りの空港から1時間半ほど車で走ったフランスの片田舎の農場で、柳宗理さんのエレファント・スツールが迎えてくれる。遠く日本でデザインされた家具が、何年ものちにドイツの会社から発売され、ここの風景のひとつになっているのだなぁ、と、ふと最近読み返した本にあった柳さんのスタジオの写真を思い出しました。中庭でそのスツールを4つ重ねて(1台ではテーブルが高いので)作業しているのはイギリスで学生をしているドイツ人。

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「風の模様」を作ったのはアメリカに住む韓国人と、スペインに住むメキシコ人とノルウェー人の3人。異文化の中で切磋琢磨してる人は、共同作業のやり方が柔軟で、自分の意見もしっかり言う。「かわいい子には旅をさせろ」というのはこの事だな、と思ったり。この3人は趣味がうまく重なったようで、始終楽しそうにいろんな実験をしていた。出来た作品をみて「日本的!」と言った人がいたけど、、、不思議なものです。

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このうちの一人メキシコ人のXimena(ヒメナ)はわたしと同世代で、高岡にある富山デザインセンターで10年ほど前に留学生研修をしたとのこと。わたしも以前、富山県氷見市の街灯をデザインする仕事でセンターのお世話になったことがあって、その工房の頼りになるエンジニア「Yoshida-san」のことを、時空を超えて二人で懐かしく話したのでした。

その時に浮かんだ言葉が「文明の交差点」。
たくさんの人の、いろんな体験や知識から繰り出されるアイデアやインスピレーション、想い出やワクワクがふと足を止めたくなる場所。今まで交流がなくてあまり知らなかった国のことに興味をもったり、友だちができたりする場所。

興味深かったのは南米の人たちとの出会いでした。選抜を勝ち抜いて国費でワークショップに参加している勤勉なメキシコ人の女の子たちがいるかと思うと、同じメキシコ人でも、7週間続けてこのワークショップに参加するという相当お金持ちの男子学生は、しょっちゅう二日酔いで部屋で寝ている怠け者。チリ出身でバルセロナに住み秋からはローマで仕事が決まっているという女性は、ティーンエージャーの娘をその父に託し、一週間おおいに羽を伸ばしていた。タティアナというロシアな名前でアジアな顔だちの女の子は、日系ブラジル人。日本語は話せないからわたしとは英語で。でも彼女がポルトガル語で一生懸命アイデアを話すと、スペイン語圏のメキシコ人やスペイン人にはちゃんと通じるのです。みんなまとめて、元気だったなー、南米の女性たち。振る舞いはラテンなんだけど、どこか懐かしい感じのする顔だちと小粒な体型。みんなよく飲み、よく話す。

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工房のアシスタントや調理場の手伝いをしていた若いデザイナーたちは、ひと夏ここに滞在して工房やキッチンで働いて、いくつか自分もワークショップに参加する、 という交換条件のボランティアのような人たちで、いつもながら気持ちのよい若者が集まっていました。写真のスクーターは、そのうちの一人が実家から持って来た旧東ドイツ製。彼は、照明デザイナー、Ulrike Brandiが連れて来ていた3人の小学生に竹で笛を作るやり方を教えてあげたり、夕食後のバトミントン・トーナメントのトロフィーを彼らが作るのを手伝ったりする素敵なお兄さんでした。

3位のトロフィーは今、わたしのスタジオに飾られています。ダブルスを組んだリバプールの建築家Robert Kronenburgのオフィスに、いつか持って遊びに行く予定。

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デザイン・ワークショップ

2008 年 8 月 1 日

フランスの田園地帯にある農場でVitra Design Museumのデザイン・ワークショップをやってきました。アシスタント2人と、9カ国から集まった14人の参加者と一緒に過ごした1週間。楽しかったです。

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Boisbuchet(「ブワブシェ」と発音します)と呼ばれる場所。今回で4度目なのだけど、遠くからこのお城が見えはじめるとわくわくする。泳げる湖があり川も流れていて、菜園や牧場があって馬やロバがその辺りにいる。そして、敷地内には今までのワークショップで作られたり、建築プロジェクトとして建てられた小屋や家が点々と在ります。坂茂さんの紙管の小屋もあります。

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一日目の朝の工房の施設紹介。この週は建築と照明とデザインの3つのワークショップが並走して、それぞれ15人ずつぐらいの参加者。ワークショップの説明や共通の言語は英語。でもあちこちで、いろんな言葉が飛び交う。メキシコからたくさん参加していてスペイン語がいちばん優勢。次が韓国語、そしてドイツ語の順だった。日本からの参加はなし。これは初めてのことで、ちょっと淋しかったです。下は工房アシスタントの3人が機材や材料の説明をしているところ。

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暑すぎたり雨が降ったりすると作業をする場所になる巨大な納屋。 下の写真は、その床に並んでいる参加者の作品の一部です。木陰にロープで吊したペンが風に揺られて模様を描く、というもの。場所と時間とそこに流れる空気を切り取った模様が美しい。

今回のワークショップは「Air Made Visible」というタイトルで、この場所にまず身を置いて、感じた要素を目に見えたり体験できる物や装置に置き換えてプレゼンして他の参加者と一緒にもう一度楽しむ、というテーマ。出来上がった作品をみんなで鑑賞したり触ったり遊んだりするのももちろん楽しいのだけど、そこに行き着くまでのプロセスで得られるいろいろな発見がとても大事だし、場所にふさわしい素材と形を与えると成果物がとても「心地よい」物になることを、あらためて感じたのでした。ワークショップを通して参加者に何かを伝えられるとしたら、そういう発見の楽しさと自分の作ったものを心地よく眺めるその快楽なのかもしれない、、、と。

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たった独りのフランス人は地元出身のシェフ。今年の食事は今までで一番でした。シュークリームとかアップルクランブルとか、スイーツも充実してた。菜園から野菜を収穫して、これがサラダになるのです。総勢80人ぐらいになる朝昼晩の食事。天気がよかったので、ずっと外で食べた。ゴングが鳴ると、工房や納屋、草原や湖からみんながここに戻ってくる。

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木陰で制作。出来上がったのが下の写真です。彼女はちいさな草花のデリケートな構造に魅せられて、それを拡大し、花弁の中を歩き回る虫の気分になれるような風で動くオブジェを作った。

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これも作品のひとつ、籐で編まれた直径1メートルぐらいのボール。風が吹くと草の上を優雅に転がっていく。風景と一体になって、これもとても「Air Made Visible」でした。

自然の中で1週間過ごすと、帰りに寄った空港のある街Poitiersですら、ホコリっぽくてがちゃがちゃした、視覚ノイズの多い場所に感じられて驚きました。スタジオに戻ってすでに4日目なのに、まだぼーーっと、草の匂いや朝露が足に冷たかったあの感じを思い出している。たくさんの笑顔と語られた夢とプレゼンの時のちょっとした緊張感を思い出す。写真を見ては「みんなまた、どこかで会おうね」と微笑んでしまう、Boisbuchetはそういう魔法のかかった場所です。

『自分の仕事をつくる』

2008 年 7 月 18 日

前回のパドヴァのホテルの話を書いていて、思い出した本があります。なぜニセモノに囲まれると幸せを感じないのか?、、と考えていた時、わたしが以前に読んで影響を受けているのはあの本だった、、と思い出したのです。

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「働き方研究家」という肩書きを持つ西村佳哲さんの著書『 自分の仕事をつくる』

この本に出てくる「パタゴニア」のサンダルを先日買ったところで、履き心地が良くて「どんな事が書いてあったかな?」と思ったこともあり、ぱらぱらと読み返してみました。再度、というか以前よりもさらに共感する部分が多くて、著者の着眼点の先進性にうーんと唸ることたびたび。

なんというか「ほんとに、こんなやり方で続くのかな!?」なんて落ち込みそうな時に「誰だって、 自分のやり方を探しているのよね。問題は愛の大きさなんだ!」と励まされる。わたしはここ数日、とても励まされました。登場する「愛のある仕事人」は、商品やデザインを著者が見て「すばらしい」と思った人たちばかりで、見た事のある物や持っている物のデザイナーだったりすると、そうか、このモノの後ろにはこういう働き方があったんだ、、と納得できるのです。

前書きに「周りを見回して目に入る物も風景も、誰かの仕事の結果としてそこにある。その仕事が『こんなもんでいい』という態度で作られていたら、それを手にする人の存在を否定する。それは棘のように精神にダメージを与えているだろう。逆に、心を込めて作られたものはそれを含む世界を良く変えて行く力を持っているのではないか」という主旨の文があって、デザイナーとして出来る事への限界というか、そういう気持ちで見ていた世界が少しふわっと押し広げられたような気がしました。

2003年に出版されたこの本に「これから脱工業化社会が本当に進展しつつあったら」とか「モノがあること、あるいはお金があることが豊かさではないことはわかってきた。では、次に目指すべき豊かさは、どこに」という今起きている社会全体のシフトをすでに見据えているフレーズがあちこちにある。5年前、わたしはまだ彼ほどの環境に対する危機感もなく進行中の育ちすぎた消費社会にも違和感を持たず、自分の目の前の日々のことにただあくせくしていたなぁ、、と振り返ったりするのでした。

今回、いちばんごん!と腹に応えた一文は 「他者の力を引き出す人」ファシリテーターのところで、人がセルフ・エスティーム(自己是定感情)を育むために第三者に何ができるか、という考察をしている箇所です。

『それは「あなたには価値がある」と口で言うことではなく、その人の存在に対する真剣さの強度を、態度と行動で体現することだと僕は思う。』

これは経営者がスタッフの能力を引き出す、という狭い使われ方を越えて、家族やパートナー、共同体で出会う人々を幸せにし、かつ自分が幸せを感じるための基本中の基本ですね。はぁぁぁ。忙しい、いそがしいとつぶやいてちゃダメだ。こんな大切なことをつい忘れて毎日を過ごしているけど、ちょっとしたきっかけでこの本に再会してこの言葉にもう一度出会えて良かったと思う。パタゴニアのサンダルと、ビジネス旅行にThanks。

ニセモノ / a room with fakes

2008 年 7 月 15 日

どんなに格好よく見せかけを作っても、ニセモノに囲まれた空間では心からくつろげない、、、という体験をしました。

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先週、出張で行ったイタリアの都市パドヴァで、スペインの「デザイン・ホテル」AC HotelsチェーンのひとつAC Padovaに泊まった時のこと。

古都の城壁の外、工業地帯の入り口、という立地だけど、2重窓で静かだし、清潔。サービスは節度があって気持ちよく、モダンだけど大きすぎないサイズ。かなり気に入りそうなホテルなのに、、、惜しいなぁ。

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レセプション周りは、さすがにちゃんとしてました。シックで快適。色使いも照明も、質感もよい感じ。でも、客室が。

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最初の印象は悪くなかった。床やカーテンの色合いは落ち着いて、照明もしっとり、収納もたくさんある。掛かってるコルビジェの教会の写真もいい感じ。でも椅子が「なんちゃってイームズ」だと気づき、あらら、、と思って見回すと、偽物だらけだったのです。レセプションの前にあったソファはデンマークのラムハルツだったけど、客室にあるのはそれを真似て作った稚拙なソファ。脚の金物はスプレー塗装だし。極めつけはウォールナットに似せた木目がプリントされているビニール張りの床。まあねぇ、こういう場所では、ハイヒールの跡が残る床材を使いたくないのは分かるけど、、。

バスタブは大きく立派に見えるのに、プラスティック。これは、中に入るとパカパカ音がするし、底はふわふわするし「ホテルで入浴」という楽しみの時間を台無しにしてくれるよなぁ、、と思う。洗面台は、見栄えは良いガラス板だけど、これ、メタルの土台との接着部分をキレイに紫外線溶着しないと、ボンドみたいなのが透けて見えるのはかっこ悪いです。こんな掃除に手のかかる素材を使うなら、それくらいの気は遣って欲しいと思う。くぼみの大きさが微妙で水は飛び散り、裏をつつーっと水が流れたりするので、翌朝にはかなり汚れた印象になってしまう。しかも、天板に傾斜があって、置いてあったゴルフボール型(なぜ!?)の石けんが濡れた軌跡を描きながら転がるのが、ぁあ、うっとうしい!

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なぜ、ニセモノだとくつろげないか。

気持ちの良いホテルに泊まる、というのはちょっとした非日常の、ご褒美のようなものだと思うのです。毎日働いてがんばってるし、たまには掃除とかベッドメイキングのことを考えなくてもいい、誰かが朝食を作ってくれる場所でのびのびとくつろぎたい。なのに、そんな場所でニセモノに出会うと「ここに泊まる客にはね、所詮これくらいでいいんですよ、たいして高い料金を払っている訳でもないんだから、表面だけかっこう良くしておいたら」という、隠れたメッセージのようなものが見えてしまう。「これくらいでいいだろう」という気持ちで用意された場所では、人は大事に扱われているとは感じられない。

イームズの本物が予算からして高すぎたら、なんちゃってイームズを買わないで、同じ値段でも誰かがもっと誠意を持って作った別の家具が見つかるはず。ばかみたいに大きなバスタブを入れなくても、心地の良い浴室はいくらでも考えられる。「あなたの快適な今夜ために、予算はそんなにかけていないけど、誠意のあるものたちでこの部屋を用意しました」という場所は、たしかにあるし、そこはわたしをくつろいだ幸せな気分にしてくれる。と、そう思うのです。手作りのジャムやお菓子が置かれている、自分でお茶をいれて飲めるような小さなB&Bなんかは、ニセモノの置かれた「デザインホテル」よりはよっぽど快適に過ごせる。それは、ゲストとしてもてなされている、そのホスピタリティーをしっかり受け取れるからですよね。

この「真のホスピタリティー」はHPやホテル・レビューでは分からないものだなあ、と思う。今回はがっくりしたけど、朝食はまあまあ良かったし(まあまあ、ね)、レセプションも感じが良くてミラノで普段泊まるホテルに比べればよっぽど快適だったので、AC Milanoには、今後泊まるかもしれない。ネガティブ・チョイスなので「楽しもう」というスイッチはオフにして。このあたりの、宿泊にかける費用と結果としての心地よさのバランスって、ほんと難しいです。

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I realise that there are a lots of visitors to this blog from abroad. So, I write in English as well today, because it is not easy to get message of this post by photos only.

I stayed in a hotel in Padova, named AC Padova, one of AC hotels run by a Spanish company.

OK, I have to admit that the reception area is good, chic and nice texture of materials and colour. People are professional, nice and helpful. Breakfast was not bad, either.

But once you step into your guest room, then you find items in the room are all copy or fake or substitute - from ‘inspired’ Eames chair to Walnut printed vinyl floor and big plastic bathtub. I could not be really happy being in this room, as I received subtle message of management that says ‘you are not paying huge amount of money anyway, so forge Design Hotel is suitable for you’. This message damages impression of whole experience, leave scrach in your mind and you are not entirely comfortable there. You want to go home, being surrounded by not expensive, but honest things.

本文のおわりです。

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